他とは違う

私の人生を語る上で、最も大事なのは「意外性」。
人生における選択肢と意外性を好む性格があわさって、今の私がいます。
手っ取り早いのは、新しい環境に身を置くこと。
だから中学を決める上で「誰も知った人がいない」から、
同じ学区から2〜3人しかいかない遠くの学校を選びましたし、
東京の大学と関西の大学のどっちか一つを選ばなければいけなかったのも、
「関西だとおもしろそう」っていう理由からです。


サークルもちゃんとした理由を書けば「映像制作の過程を知りたい」からでしたが、
今考えると、4月のサークル勧誘の場にいた白川さんという独特な人柄に、
非常に興味を抱いたからでした。
本当は彼に接近しておもしろいことを探すつもりだったのですが、
先輩や同学年の仲間に、それと同等かそれ以上のものを見出し、
中でも眼鏡をかけた2年先輩の人物に非常に惹かれたのでした。


私はネタらしいネタもないし全くおもしろくもなんともない人間なので、
だからこそ、そういうのを持ってる人間あるいは環境に惹かれます。


パーティネタをこれ以上引っ張るとアレなので、今回が最後です(たぶん)。
スーさんとマリみての女子校ネタを話してるときでした。
ぱるるは女子高」という情報を聞いて、私の食指がゴソゴソと動きます。
それからカウンターに座ってる彼女を見ると、まるでキラキラと輝いてるよう。
「これはおもしろい」とスーさんの手を引いて彼女の元へ。
とりあえず、二人で議題になっていた懸案事項から尋ねてみます。


「女子高ってバレンタインにチョコレートを交換したりするの?」。
わくわくドキドキ。
「それはないと思う…」ってことでしたが、関心フル稼働の私は怯みません。


私「なるほど。んじゃ、カップルとかはいないんだ?」
〒「仲の良い子はいたよ。トイレ行くとき手をつないだり」
私・スーさん「手をっ!!!」
十代後半のうら若き乙女二人が、細くて美しい手を絡ませながらトイレへ。
女二人でトイレに行って何をするんだろう…。
私「じゃあさ、そのままトイレの個室に一緒に入ったりとかもある?」
娘二人が個室に入るなり、腰の位置にあった手は相手の胸元へいったりするのでしょう。
顔を赤らめながら「おしっこ漏れちゃうー」とか。
ああッ!女子高万歳!!!
しかし、元女子高生徒の証言はというと…
〒「それはない…」


「うちは男子校だったけど、そういうことはなかった」と残念がる元男子校生徒のスーさん。
男子校で一緒にお手々を繋いでトイレに行く様子は、ちょっと想像したくない。
背筋に悪寒がゾクゾクッと走ります。


〒「仲の良い子は、一緒にミサ――」
私「ミサ?」
〒「うん。カトリックだったし」
私「カトリック!!」
スーさんと顔を見合わせます。
これはもう、想像以上におもしろくなってきた。
私「っていうと、マリア像とかあるの?」
〒「うん、あったよ」
キャーッ!!
それはすごいことではないかッ。
マリア様が見てる前で、あんなことやこんなことがあるのでは…。
「ひーん、マリアさまが見てるのに…」「――とかいう割には、身体は正直じゃない」
とかきっとあるわけです。
禁断の花園。
私みたいなムサい男が、そんな世界を覗いていいものなのか…。
いや、むしろ、ムサい男が見てるっていうシチュエーションが素晴らしいのではないのか?
私「マリア像の前でチョコレートあげたりするの?」
興奮しすぎて、もはやはじめの質問を思い出すことはできません。
〒「それはないって(笑」


「うちは仏教系だったけど、仏像の前でチョコレートあげるなんてことはなかった」
と残念がるスーさん。仏像の前でチョコレートあげる様子は、ちょっと想像したくない。
また、背筋に悪寒がゾクゾクッと走りました。


私「それは残念だなぁ。でも、人気のある人はいたでしょう?」
〒「うん、それはいた」
私「どんな子?やっぱり、短髪でスポーツ万能?」
髪は銀色。
ちょっと意地悪そうな目をしていて、もちろん性格は明るくて活発。
体育でボールが頭に当たって倒れた時には「大丈夫ッ?」って真っ先に駆けつけてくるはず。
抱きかかえられた際にミント系の匂いがうっすらしたりして。
〒「うん、髪は短かったかな…」
私「やっぱりさ、下級生に人気がある?」
〒「そうだねー」
スーさんと顔を見合わせます。
ここはもう、あの質問しかないよね、と、目で確認し合います。
少しの間の後、スーさんが穏やかに頷きます。
私「ってことはさ、『お姉さま』とか呼ばれてたりするわけ?」
〒「それはないよ(笑」
私「えーッ。そんな………_| ̄|○
「どういうことなのでしょう…」とすがるようにスーさんを見ると、
スーさん「スール(姉妹)制度とかあってもいいのに…」
私「そうですね…。現実は、やはり現実なのでしょうか…」


「ただ、うちも『お兄さま』とか呼ばれてる人はいなかった」と残念がるスーさん。
男子校でお兄さまと呼んだり呼ばれたりする様子は、ちょっと想像したくない。
またまた、背筋に悪寒がゾクゾクッと走ります。
ヘコみますけど、独特な世界への関心は変わらないので、気を取り直して質問。


私「話変わるけど、生徒会ってどんなだった?」
〒「どんなって?」
私「例えば、そうだなー。バリバリのお嬢様な生徒会長が優雅に紅茶を啜る、とかさ」
〒「それはないって(笑」
私「ええっ!!??そんな…_| ̄|○
〒「?」
私「だって女子高の生徒会長っていったら、髪長くて超金持ちの箱入り娘でしょう」

横でスーさんが「当然だ」って顔で頷きます。

〒「それはないけど、一目置かれてる、ってことはあったよ」
うーん、と私が唸ると、ぱるるが「この機会だから、聞きたいことあったらぜひ」
というので、「ま、この際だから」というので聞いてみる。


私「女子高ってさ、良い匂いとかしてるの?」
もの凄い勢いでスーさんが食らいつきます。
スーさん「うんうん!」
〒「はぁ?」
私「だからさ、色んな香水とか混じって、それが総体として変なものになったり」
〒「あ、そういうこと。でも、香水はみんな付けてなかったよ」
私「……!!」
そうか、純粋に体臭だけで構成されるんだ。
だったら、それは香水よりも素晴らしいものではないか…。
そういう私の考えを察したのか、
スーさんが私の口から出るであろう次の発言を封じ健全路線を維持。
スーさん「共学だから、香水を付けるのかもしれない」
〒「それはあるかも。男子がいなきゃ気にしないし」
私「あ、なるほど」
〒「ハッキリ言って、ここでは言えないようなものが飛び交ったり(笑」
私「うちは共学だったけど女クラもあって、結構そういう話聞いたよ」
〒「女子高の女の子より、共学の女の子の方がずっと女らしいと思う」
私「なるほど」
〒「女子高だと純粋培養じゃないけど、元気ではあるね」
私「そっか。女子高の女の子が明るいのは間違ってないんだ」
〒「そうそう」


そこで「ゲームを始めるので席についてー」という声が。
まだまだ関心はあるけれど、とりあえずここで一区切り。
私「しかし、女子高について、見識を改めなければいけませんね…」
スーさん「そうだね…」
うーん、やはり小説はどこまでいっても小説なのか。
ただ、独特な世界ってことには変わりないから、いいんですけど。
もうちょっと早く知ってたらもっと楽しめたかもって思うと、ちょっと残念。