相談しよう。そうしよう。

めぞん一刻』の音無響子さんが、
五代のことを真剣に考え始めたとき、
八神に「すべてが嘘になってしまう」って言ってますけど、
時間が経てば経つほど、恐らく本当の意味で理解できてきます。


その時の彼女の場合は、タイムスリップでも奇蹟でも何でもよくて、
とにかく総一郎さんがフッと目の前に現れたら、
例え五代と結婚してても、それを捨てて彼の元に行くだろうなぁ、っていう。


私も、同じような迷路にはまり込んでるんですよね。
明日偶然にでも彼女が現れたらって考えると、
全てを捨てて飛んでいくと思います。


だから、考えるんです。
自分から湧き起こる好意の感情は嘘なんじゃないかって。
そういうわけで、全然踏み込めない。
すぐに自分自身を縛って動けなくしてしまう。


かつてほど、想いは強くないんです、全然。
「過去にできたかな」っていう確信も生まれ始めている。
でも、先のように「もし、目の前に現れたら」って考えると、
相手にも悪いし、究極的には自分が許せなくなる。


私のような人がいて、彼が私に相談しにきたとします。
そしたら、私は何と答えるか。


私「仮定の話をしたらキリがないやん。現実を見るべきだよ」
相談者「現実を見るのなら、あらゆる可能性を考えるべきでしょう」
私「確かにね。でも、そうではいけないって思ってるから、相談したんでしょう?」
相談者「うん。一番恐いのは、全てが嘘になってしまうこと」
私「嘘にはならないと思うけどな。だって、そういう自分は確かに存在したってことじゃない」
相談者「事実としてはそう。でも、今の自分の行動で、それを変えてしまうんじゃないかって」
私「事実は変えられないけど、自分の感情は変えられるってことだよね。つまり、受け取める気持ちの問題」
相談者「そう、気持ちの問題」
私「だったら、そうならないように気持ちをしっかり持ってればいいんじゃない?」
相談者「自信がない。仮に、目の前に現れたら、俺はそっちに行ってしまうと思う」
私「でも、目の前には現れていないじゃん。これからも現れないと思うけどな」
相談者「そう言いきれる根拠は?」
私「もちろん、ないよ。でも、人間ってそういう生き物じゃないんじゃないかな」
相談者「どういう意味?」
私「つまり、縁、繋がりがあるかないかに、簡単に左右されてしまう生き物ってこと」
相談者「それが、先の仮定とどう関係してるわけ?」
私「世の中には女性は星の数ほどいるわけだ。でも、人は出会った人の中からしか伴侶を選べないよね」
相談者「うん」
私「先の仮定は、全ての人と付き合ってないのに結婚なんてできない、っていうのと一緒でしょ」
相談者「一緒?」
私「だって、他に素敵な人はいっぱいいるかもしれないじゃん」
相談者「ああ、そうか」
私「お前の考え方だと、人間は一生結婚できない。だから、それはあくまで理想、夢物語なわけ」
相談者「夢かぁ…うん」
私「それに、お前は考えすぎだと思う」
相談者「考えすぎ?俺が?何で?」
私「そういう仮定をしてる時期は、まだその時じゃないってこと。理性ばかり先走ってると、そうなる」
相談者「理性、先走り……確かにね」
私「だから、その時まで待ってろよ。まだ24年しか生きてないのに、慌てすぎ。ゆっくり構えてなさい」
相談者「それでいいのかなぁ…」
私「そうする他、方法あると本気で思ってるの?」
相談者「そういうわけじゃないけど…」
私「お前の性格からして、縁があればすぐに沸騰するはず。だから、先の仮定にハマる心配なんてないよ」
相談者「そうか、そうだな」
私「だいたい、すぐに白黒決めなきゃ気がすまないなんて生真面目すぎるんだよ。いいかげん、止めろよな」
相談者「努力する」


と、こうなります。
確かに「私」のいうのはごもっとも。
焦り過ぎか…、確かに。
実家で結婚、結婚と言われ続けてるし、
自分では何も感じてなかったけど、
身体の内側の奥底で、危機感が形作られてたんだなぁ。
よし、ゆっくり生きていこう。


考えてみれば、響子さんも、八神というライバルがあらわれて、
結論を急がされてるときだったなぁ。
感情に、上方向に外的圧力を加えられるとこうなってしまうわけか。
注意しておこう。