笑えるレス センター試験な夜

去年の話


「ハイウェイスターのお通りだい!」
といって教室に入ってきたあいつ。席を探す時も一番後ろまでいってムーンウォークしながら机の番号を順にみていってた。3回目のムーンウォークの途中でとまった。
後ろの人と向かい合う様に自分の席に着席。すぐ参考書らしきものをとりだし勉強しだした。たまに後ろの人の参考書とあたり、その時は素直にすいませんと謝っていた。読んでたのは天国の本屋という参考書でした。結構うすかった。
英語の時間の終わりぐらいに、パリッ!という軽快なオナラの音をたてたのも彼。厳密にいうとパンッ!。表情一つかえなかったよ。むしろ動きすらなかったというか、オナラをした事実こそが幻想なのでは?と周囲を驚かせた。
昼食にビッグマックバックパックから取りだしたのも、そう彼。真剣な顔でポテトをビッグマックに追加してたよ。最終的に飛行機のエンジンのような外観になったそれを小分けにして食べはじめた。
最後の教科を残すのみとなった休み時間あいつは毎休み時間にやってたように後ろを向いて参考書をみてた。そして休み時間が終わり、プリントが配られる直前に、毎時間すいませんでした。と後ろの人に会釈した。
すべてが終了し、いち早く教室をでていこうとした彼。ドアを開けこういった。
「こんなドキドキするレースは生涯もう味わえない」と
すると彼の後ろの席だった人が、去っていく彼に後ろから叫んだ。
「あんたはいつだってハイウェイスターだろ!」
やつは振り返らずに右手を高く掲げ廊下の角をまがった。


そして俺だけはみていた、あいつが少しだけ笑ったあの時を。